会社の強みである営業・マーケティングの力を使い、人材派遣、有料職業紹介、請負・アウトソーシング、ヘッドハンティング、営業支援コンサルティング、採用支援コンサルティングなど様々な企業のニーズに応える人材総合コンサルティング企業として社会に活力を与え続けている 『ライズ株式会社』。2005年の設立当初は人材派遣会社として一つの事業に集中していた同社だが、移り行く時代の変遷と共に会社の定義を変更し、今では人材支援・経営コンサルティング・採用支援という3つの事業領域で活動する会社へと変化を遂げた。2014年10月に設立10周年を迎えた同社は、現在東京本社を軸に日本全国6カ所に支社と営業所を構え、人材派遣会社としてのノウハウを活かしながら社会のニーズの変化に応じた“攻め”の経営を続け、着々と業績を伸ばしている。そんな同社の基盤となる社内環境作りについて、代表取締役社長 井尾晃宗氏にお話を伺った。
なぜオフィス環境に投資したのか
同社は2014年10月、設立10周年を迎えた年に東京本社の移転を決行。時代のニーズに合わせて企業も変化をするのが当たり前と考える同社は、常にその“変化”を楽しむ姿勢を忘れず、「カッコいい会社」を目指し日々邁進している。このような企業風土の中、新たな“変化”を遂げたオフィス空間について、その環境投資の理由を伺った。
井尾氏:本社移転は3回目ですね。今回も業績好調による業務拡大が主な移転理由です。社員が入りきらなくなってしまったので。以前のオフィスも渋谷の道玄坂にありました。僕の前職も渋谷だったので、渋谷にはなんとなく愛着があるんです。また、僕らがやっている仕事は来客が結構多いので、ある程度主要ターミナル駅の近くであるということも場所選びの大きなポイントでした。
オフィスを創るにあたっての目的は2つあります。1つは弊社の従業員が「こういう場所で働けるんだ!」とモチベーションになるようなオフィスにしたいということと、もう一つはお客様がいらした時に「この会社はしっかりしているな」と信用していただけるような会社であるということでした。当たり前のことではありますけどね。弊社は割と人が集まる会社なので、居心地が良く、サーフライクなカフェのような雰囲気で、木やグリーンのある落ち着いた感じにデザインしてほしいと各デザイン会社へお願いしました。カチッとした感じやスタイリッシュな雰囲気はよくあると思うのですが、僕自身があまり他と同じようなことをするのが好きではないので、こういった注文をさせていただきました。
構想から竣工までの期間は4ヶ月程でしたね。結構短かったと思います。というのも、今回内装は全てパーク・コーポレーションさんにお願いしたのですが、青山フラワーマーケットを運営しているパーク・コーポレーションさんの役員の方と僕が元々プライベートでお付き合いがあって、うちが移転するという話をした際に、「オフィスや商業施設のグリーンを使ったレイアウトもやっているから、よかったら手掛けさせてもらえないか」と言われたんです。その時すでにコンペで3~4社程関わっていただいていたので、そういう状況だとご説明した上で理解していただき、通常のコンペと同じ形でご提案いただきました。その中で最終的に一番イメージに合ったのが、パーク・コーポレーションさんの案でした。
オフィス環境変革後の変化や反響
「世界に3つのRISE(=高まり)を。」という社名を用いた独自の企業理念のもと、個人・企業・社会それぞれに対して変化と活力を与えるため、日々たゆまぬ努力を続けている同社。そんな同社では、社会を構成する最小単位である“人”という財産を何よりも大切にしている。「カッコいい会社」を創るために一人でも生き生きとした社員を育てたいという想いが反映された同社のオフィス空間には、社内外からどのような反響があったのだろうか。また、移転後の変化についても伺った。
井尾氏:以前のオフィスは規模的には今の半分程だったんです。その割にはエントランスに力を入れていました。今と全くテイストは違いますが、やはり弊社は採用面が大きなポイントになっているんですね。オフィス空間は会社のブランディングの一環として重要な要素だと思っていますので、未来の仲間たちを探すためにオフィスに力を入れているという意味もありました。そして結果的に採用活動をしている中で弊社にエントリーしてくださる方が増えたのは、一つの大きな変化だと思います。
また、社員の女性比率を上げたいということも考えていたので、そのために女性が好みそうなデザインを取り入れましたね。これは多少エントリーにも影響していますし、実際に女性社員の評判も良いです。従業員満足度は間違いなく上がったと思います。実際にそういう意見も聞きますし、また以前と比較して従業員一人一人の挨拶や電話の声が大きくしっかりしてきたと感じます。会社と共にオフィスが成長してきて、その自信が気付かないうちに付いているのか、本人たちは多分無意識だと思うんですよ。今まで「挨拶の声が小さいよ」と注意していたのに、今では注意せずとも声が大きくなりましたね。そういった意味でオフィスの力は大きいなと思いました。他にも、広いセミナールームができたので毎週各部門メンバーが集まって、コミュニケーションを深める機会も設けられるようになりました。
また、エントランスの緑を見たお客様にも「凄いですね」と言われます。生花なんですよ、と言うともっと驚かれますね。移転をしてからお客様をお呼びする機会も増えました。会社を見ていただくことによって安心感や信用力を上げたいという目的があったので、間違いなく反響があると感じています。見た目でそれなりの施設投資をしていることは伝わると思うので、社員も会社が空間に投資してくれたんだと分かるでしょうし、それだけの余力があるということをお客様にも分かっていただけると思いますので、良い投資だったと思っています。
スポーツを楽しむ社員のサーフライクなオフィス
代表の井尾氏だけでなく、社員の多くが休日にスポーツを楽しんでいるという同社。まだ真新しいオフィスからも、そのイキイキとした快活な印象を感じ取ることができるが、4か月という短期間で完成させたというこのオフィス空間には、どのようなこだわりが詰まっているのだろうか。
井尾氏:エントランス周りをとにかくインパクトがある形にしたかったんです。エントランスの印象は結構大きいと前々から思っていたので、どのような形でもいいので案を出して下さいと数社にお願いしたところ、パーク・コーポレーションさんが壁一面に緑を施すデザインを提案してくださったんです。しかも全て生花ですから、あの技術はパーク・コーポレーションさんにしかできないと思います。元々グリーンを本業に扱っているからこそ、あのような発想が生まれたんでしょうね。非常に面白い案でインパクトがありました。オフィス移転にあたっては社員の希望も聞きましたね。細かいところだと、自販機が欲しいとか、ゆったり寛げる場所が欲しいとか、デスク以外でお弁当を食べられる場所が欲しいなどいろいろな意見があったので、その中から極力希望を汲み取って構想を練りました。デスク以外でちょっと寛げるようなリラクゼーションスペースを執務室内に設けたので、今ではお昼にそこでランチをする従業員も増えましたね。
僕自身もトライアスロンをするのですが、サーフィンをしたり、体を動かすのが好きな社員が多いんです。そこで最初は“サーフライクな感じのオフィス”にしようというところから、ウッディでグリーンを加えるだけでなく、砂浜のようなものも作りましょうかと話していたのですが、砂浜については本題と逸れ過ぎてしまうので止めました。でも、オフィスの所々にいろんな遊び心を取り入れました。本当はサーフボードを置いたり、自転車を置いたりすることなども考えましたが、あまりやり過ぎても良くないですからね。あとは、壁にスペースがあるので、近々絵を飾る予定です。自分で選んだものと、移転祝いにいただく予定があるので、それで壁を少し華やかにしたいと思っています。
今後取り組みたいオフィス環境作り
2014年に10周年を迎えたライズ株式会社は、「カッコいい会社を創る」という企業理念のもと、引き続き今までに培ってきた経験やノウハウを活かして更に多くの新たな事業を創出し、価値を生み続ける会社として攻めの経営を続けていく訳だが、今後会社として更なる成長を遂げるためにも、同社の精鋭たちが一日の大半を過ごすオフィス環境というものが重要な役割を担うことは間違いない。変化は当たり前と考える同社だが、今後のオフィス環境作りについてはどのような“変化”を考えているのだろうか。
井尾氏:リラクゼーションルームの利用が段々と増えてきたことで、他部署同士の人たちの交流も増えてきているので、メッセージボードのような物を作って、この近くの○○のお店はおいしいよ、とか直接知り合いでなくてもコミュニケーションが取れるような場を設ける予定です。弊社は、本社含め営業所が6カ所あって、今後は沖縄や名古屋にもできる予定です。そうすると所属する営業所以外のメンバーと顔を合わせることが少なくなるので、いつか本社と各拠点を結ぶモニターのようなものを壁一面に置こうかと考えていますが、今は移転したばかりということもあるので、やはりface to faceを大事にしたいと思っています。また、勉強会やセミナーも行うようになったので、そのうち外部の方をお招きして講演会を行おうとも思っています。
それから、これは展望なのですが、結構体を動かすメンバーが社内に多いので、オフィスがよりそういう面で機能的であってもいいのかなと思います。たとえば着替えができたり、シャワーが浴びられたり、ウェイトトレーニングができるようなジムを設置したり。ロッカーを置く案は既にあるのですが、ロッカーだけあっても意味がないと思うんです。極論かもしれませんが、衣食住が全部オフィスでできてしまうくらいの環境を作ってもいいのかもしれません。もちろんやり過ぎは良くないですが、個人的には居心地が良くて快適さを追求するとなると、従来の「オフィス」という枠を超越してもよいのではないかと思います。
Pick Up “ここが、ライズらしさ”
■指定都市制度
指定したエリアに住むと住宅手当金が支給される制度。
■社内DJ制度
社内にかかる音楽を、社員がそれぞれの好みや気分に合わせて選曲できるシステム。何事も楽しく仕事に取り組むという環境作りの一環として取り入れられている。
■RISEオフィシャルクラブ
フットサル部、サーフィン部、ランニング部などアクティブなクラブ活動を中心に稼働している。オン・オフのメリハリをつけるのも仕事をする上で重要なことと見なしている同社ならではの制度。
■各種達成会
月次予算の達成状況に応じて、チーム別で達成会を実施している。仕事で成果を出したときには自らの達成を皆と分かち合う、というライズのモットーです。
■サムライ支援制度
こちらは計画中の制度だが、社内における新規事業プランに対して支援していく制度を近々実施予定だとか。
Creator’s Eye 株式会社パーク・コーポレーション / parkERs 片平麻衣子氏
今回はお施主様がサーフィン好きという事もあり、「サーフイメージ(西海岸)にしてほしい」というご要望がありました。白、ガラス、ウッドを基調として、人材派遣会社でありながらカジュアルなオフィス空間を来訪者に提供したいとのことでした。
この“サーフマインド”をなぞって行くと、そこには心地良いライフスタイルを求めている人たちが居ました。海でゆったりとサーフィンの波待ちをしているときの様に、開放的なリラックス感で毎日を過ごして欲しいと考え、「光」「音」「広がり」を感じる空間提案を致しました。
この空間提案の中で最も悩んだ点は、弊社の最大の武器でもある壁面緑化の部分でした。エントランスから見たグリーンは正面で無く、横から見る形となるレイアウトであったため、迫力やボリューム感を如何に感じていただけるかという点で、植栽選定、配置共に弊社のグリーンコーディネーターと随分悩みました。また、意匠面だけでなく、オフィス内ではかなり大型の壁面緑化であったため、快適に過ごしていただける空間にすべく、水への配慮、植物のメンテナンス等何度も検証を行いました。
家具類については、お客様が空間全体をイメージできる状況になってから、弊社にてランク別、イメージ別で数種類のご提案を提示し、最終的にはお施主様にご選定いただきました。ご選定いただいたものに関しては、全て現物にて座り心地や色味をチェックしていただいた上で納品させていただきました。
竣工後、お施主様には全体の雰囲気だけでなく、壁面緑化についても大変喜んでいただけました。最初は壁面緑化も造花で良いという話があったのですが、出来上がってみると本物は迫力があり造花とは全然違うと言っていただきました。引き渡し後、何度か居心地を伺いましたが、いつも「サイコーです」と言っていただけているのは本当に嬉しいことです。