1999年9月の創業以来、一貫して「Technology(技術)」を強みに「Benefit(価値)」を創造する、Benefit Technology Companyとして成長を続ける『株式会社ディマージシェア』。同社では、業務系システムとWebマーケティングの2つの領域に強みのあるシステムインテグレーションサービスを展開しているだけでなく、近年ではスマートデバイス向けの新規事業展開や、ADテクノロジーを中心とした専門的な技術力に加え、それを支える人財教育や開発メソッドの構築にも注力している。
社名の『ディマージシェア』は造語で、「デジタル」と「イメージ」を掛け合わせて「シェア(共有)」するという意味があり、無限に広がる想いやイメージをどのようなフィールドにおいても共有していこうという意志を表している。常にお客様に寄り添い、顧客目線で積極的に進化しながら新たな価値を創造・シェア(共有)し、お客様のビジネスに貢献しようと邁進する同社のオフィス環境に対する考えとは。代表取締役社長 大内慎氏、経営戦略室 人事・採用 垣内頌子氏よりお話を伺った。
なぜオフィス環境へ投資したのか
同社はこれまでに3度の移転を経験しているが、2012年に行った4度目の移転には特段の想いを込めたという。オフィス環境整備に込めたその想いとは、一体どのようなものだったのだろうか。
大内氏:2011年はちょうど会社を大きく変えていこうと思った時期でした。より社員間のコミュニケーション密度をあげ、ディマージシェアという風土環境を創り上げるためにも、とにかくコミュニケーションが円滑にできるように、2フロアに分かれていた空間をワンフロアにして、見えない所がない状態にしようと思ったんです。単にスペースが狭くなったからという理由ではなく、会社の物理的な変化にしようと思ったことが移転の大きな理由です。社内環境を改善することと一体感を作ることを一番の目的として、半年ぐらいの構想期間で動きました。
移転するにあたって、プロジェクトチームは公募で決めました。今回移転する意図を説明し、コンセプトに沿って前向きに、主体的に賛同してくれる人はぜひチームに参加してほしい、と伝えました。意見も言いっぱなしではなく、きちんと社内に浸透させていくことができる人が条件でした。結果的に全体の参加メンバーは15名ほどだったと思います。オフィス移転のキーワードなども公募制で意見を出し合い、内装の施工会社も社員中心に決めていきました。これまでの拡張移転とは違い、会社を変えたいという思いからの移転でしたので、思い入れというか、愛着が湧きますよね。
基本的にはメンバーに決めていってもらい、決まってから上申するという流れでした。予算がどのくらいかかるか分からないですから、変な制約を与えたくなくて特に上限は決めていなかったんですね。設計も大枠は設計会社の方で進めて頂いたのですが、その中でメンバーがいろいろ意見を出して修正するというプロセスを何度も繰り返しました。ですので、内心ドキドキしていましたよ、どんな見積もりが来るのだろうかと(笑)。
オフィス環境変革後の変化や反響
コンセプトに忠実なオフィス環境作りをした結果、期待していた以上に良い変化を得られたという同社。2015年で移転してから3年経つが、ハード、ソフト面における微調整は常に行っているそう。3年経っても依然として社外反響が大きいという同社だが、具体的にどのような変化が得られたのだろうか。
大内氏:千代田区飯田橋にオフィスを移転して2015年で3年になりますが、常に環境整備は意識しています。この前ある社員から、自分の机の所にちょっとした本棚を置きたいと言われまして。でもコンセプトは、あえて自席を立って資料を取りに行き、その最中に誰かと会うことでコミュニケーションがとれる、というものなので、コンセプトに反するから気持ちは分かるけれどだめだよと伝えたんです。日々コンセプトを意識しているわけではないので、こういう場面に出くわすと立ち戻れますし、指摘された方も納得しますよね。今回の件を通して、「コンセプトを決めて伝えていく」という一連のプロセスが非常に重要だと改めて痛感しました。
移転から3年経ちましたが、初めていらした方には、「素敵ですね。こだわっていますね。」などとよく言われます。執務スペースがエントランスから見えるようになっているので視覚的にも珍しいのでしょう。採用活動の時にも、来社してくれた学生には積極的に社内に入ってもらって、働いている社員の表情を見てくださいと話します。私が会社の良い話をするよりも、社員の表情や雰囲気を見た方が何となく分かりますよね。
勉強会やディスカッションも、机をコの字形にして議論を促すようにしています。何よりも大きかったのは新入社員教育(約2ヶ月)の際にセミナールームを全て研修ルームとして使えることですね。壁がホワイトボード仕様になっているので、新入社員教育に大いに役立っています。教育期間中はセミナールームに直行直帰なので、良い意味で缶詰め状態になって集中してもらうというか、恐らく合宿のような感覚だと思います。社員総会も社内でできるようになりましたし、空間をふんだんに使っていろいろチャレンジできるようになりました。
他にも社内にバーができたことで、いわゆる“居酒屋飲み”がなくなったんですよ。お酒が飲めない人もいますし、お店では一度席に座ってしまうと簡単に移動できなくなりますよね。社内では基本的に立食なのでコミュニケーション頻度も高くなりますし、1時間で一旦お開きにした後は帰っても良し、残っても良しです。これは想定外にとても良かったと思います。いざ使ってみた時の便利さを再発見しました。他にも仕事中の気分転換という意味で、あえて打ち合わせを会議室でせずにコミュニケーションスペースで行ったりします。会議室だと思考も凝り固まった感じがしますが、コミュニケーションスペースで行うことによって単にリラックスするだけでなく、ちょっとした環境の変化を提供できたらと思っているんです。ちょっと外に出てみよう、でもいいのでとにかく一度席から立ちなさい、一回動きなさい、と言うんです(笑)。そもそもそのような空間がなければ選択肢もないわけですから。
大通り沿いに移転できたことも、良い変化でした。あまり意識したことがなかったのですが、大通り沿いとそうでない場所だと気分的に全然違うんですよ。帰る時に人通りがないと何となく活気がないように感じてしまうんですよね。場所も重要な変化だと実感しています。
垣内氏:採用活動の際、学生の方々はオフィス環境を企業の判断材料にしているのかどうかまでは口には出しませんが、入社してくれた新入社員に後からどうだったか聞くと、実際に社内に入れてもらうことで雰囲気が分かると言ってもらえていますし、説明会自体もそれまでは外の会議室を借りていたのが、当社で行えるようになったことは大きかったと思います。また、それぞれの会議室名に当社の理念を当てはめていまして、そこは学生だけでなくお客様からも「これはどうして付いているんですか?」と聞かれるので、自然と理念のお話ができるんです。
プレゼン大会も、納会も社内でできるようになりましたね。外の会場だとなかなかできませんが、当社で行えば当社のカラーを入れることができることも大きいですね。
コンセプトに忠実なオフィス環境
オフィス全体で同社の理念である”SHARE”を体現しているディマージシェア。良い後付けは積極的に取り入れていくべきだと、どこか嬉しそうな面持ちの大内氏が印象的だった。これまでで最も大掛かりで、最も想いが込められたオフィスとは、どのような空間になっているのだろうか。
大内氏:いくつか物件があった中で、大通りにあること、コスト、アクセスを考えて移転地はほぼ直感で決めました。当社の場合ここじゃないとだめ、というのは特にないんです。諸先輩方が皇居に近づけば近づくほどパワースポットだと仰るので「そうなんですか!」(笑)というわけで、良い話は全部自分が意思決定する時の後押しになっていますね。後付けであっても良い話はどんどん取り入れるべきだと思います。内装については施工会社さんとの話し合いで決まり、「本拠地」というキーワードがあったかと思います。社外にいる社員も多いので、帰社した時に自分の本拠地だと思ってもらえることと、誰かが帰社したらすぐに分かるような環境を意識しました。
私がこだわって言ったのは、プロジェクターを設置してそこでミーティングや全体会議ができるようにしたいということと、それに伴って集まるためのステージを作りたかったので、一部ひな壇のように床を上げています。他には、ちょっとしたミーティングができるスペースを所々に設けることですね。ちなみに、私の席はそのステージ上にあるんです。私としては気が進まなかったのですが、風水上の方位を見てもらったら今の位置がベストなので上がるしかなかったんですね(笑)。ただそれも考え方で、上から見下ろすのが嫌だと話したら、私自身が周りから「見られている」と捉えたら?と言われました。ですから、常に見られていることを意識しています。常に話し掛けてきていいよ、私からも話しかけるよ、というスタンスです。コミュニケーションが取りやすくて今は愛着がありますね。元から方位を気にする方ではないのですが、今回の移転は200坪でこれまでよりも大がかりだったので、願掛けのような意味合いもありました。
会議室名を当社のミッションステートメントにしたいというのは、私からお願いした気がします。フォントやデザインはメンバーに任せましたが。基本的にプロジェクトチームのメンバーが中心となってきちんと進めてくれたお陰で、大きな困り事もなくスムーズに進行しました。
垣内氏:会議室のイスの色が違うのは、視覚的に気分を変えるというデザイナーさんの意向だと思うのですが、実際に使用してみて感じますが、色が違うだけで部屋に入った時の気持ちがやや違いますね。色で選ぶ時もあります。活発に議論を交わしたい時は、明るい緑色を使用して話しやすい雰囲気の「機会ROOM」を選ぶようにしています。また、きちんと対面で現実的な話し合いを行う場合には、落ち着いた茶色の「成果ROOM」を選んだりと、気分的に使い分けていますね。
執務室は、部署ごとにある程度グループ単位で座ってはいますが、仕切る壁などが一切ないので外部の方が見たらどう配置されているか分からないと思います。この執務室も人の顔が見えるというコンセプトに従って全体が見渡せるところがいいなと思います。
今後取り組みたいオフィス環境づくり
同社では「共有」という考え方を非常に重んじており、それは “まじめに向き合い、感謝される”、“共創する「すごい」を世の中に発信し続ける”という企業理念にも反映されている。そんな同社が、「共有」というキーワードを軸に今後取り組みたいオフィス環境づくりとは。
大内氏:先月から、デジタルサイネージの50インチ液晶モニターを執務スペースに置いて、デジタルコンテンツとして社内報や会社イベントの告知に使用しています。メール形式だけでなく、視覚的に気に掛けてもらおうという狙いです。今のオフィスを活かした社内の情報共有や情報発信を試行錯誤しながら積極的に行っていきたいですね。コンセプトさえぶれなければ、どんどん変えてもいいと社員には言っていますので、常に情報共有するということを意識させていきたいと思います。
Pick Up “ここが、ディマージシェアらしさ”
■福利厚生
・「飲み会補助制度Booze! (ブーズ)」
ユニット単位の飲み会補助金制度。プロジェクト内でのコミュニケーションをより深めることを目的としている。
・「育児支援制度 はぐくむ」
社員が安心して働き、安心して子供を育てられるように組まれた子育て応援プラン。
第一子 : 月額1万円支給
第二子 : +月額1万円支給(合計2万円)
第三子 : +月額2万円支給(合計4万円)
それ以降は+2万円の支給となる。仮に子供が4人だと月額6万円、5人だと月額8万円の支給となり、家族が増えた分だけ支援を受けることができ、家計にも優しいサポートプランになっている。
・「リフレッシュ休暇制度」
社員が健康で長く働き続けられるように設けられた、リフレッシュ休暇制度。長期休暇の取得促進にも積極的に取り組んでいる。
Refresh 5 !! : 勤続満5年を達成したスタッフに有給休暇とは別に連続5日間の休暇と取得時に現金5万円支給
Refresh 10 !! : 勤続満10年を達成したスタッフに有給休暇とは別に連続5日間の休暇と取得時に現金10万円支給
■社内コミュニケーション
・「BBQ大会(毎年5月開催)」
社員の家族も参加できる、美味しいお肉と楽しい会話で盛り上がるという人気のイベント。
・「社員旅行(毎年11月頃開催)」
年1回社員全員が参加する1泊2日の旅行。社員同士の親睦を深めることを目的とし、名所観光めぐりやその土地の美味しい料理を楽しむ。
・「ベトナムメンバー歓迎ランチ会」
ベトナムからの新卒メンバーが加わった際の歓迎ランチ会。同社はハノイ大学と提携して毎年新卒メンバーを採用している。
Creator’s Eye 株式会社DWP/CEO兼Lead Planning Director 小栗公二氏
今回、ディマージシェア様からのリクエストは大きく2点ありました。まず1点はワンフロアで全員が見渡せること、それから2点目は社内をできるだけ歩いて移動して使うような空間構成にすること。そしてそれをワークスタイルとして定着させようという非常に明確な目的がありました。それまでは席が近くてもついメールでやりとりしてしまう働き方でしたが、社員同士のコミュニケーションも仕事の大切な要素であるという風に、全員の意識を変えていこうとの想いをいただきました。
ご要望を受け協議の末に、用事があれば相手のデスクに行って話すようにし、打ち合わせに発展するなら、より快適なミーティングスペースを利用するように、とにかく移動を促すような動線の設定をご提案しました。食事も、自分の席で摂ることをわざわざ禁止することで、仲間と一緒に食事をするスタイルが生まれ、仕事の時間とはまた違った、よりリラックスした雰囲気の中での情報共有が活性化する仕組みを構築しました。重要なのはお客様の「働き方」をイメージして施策を浸透させていくことと、またそれが活性化に繋がること。そしてゆくゆくはそれが自然に生まれていくことです。目的に応じた場所のネーミングに関してもこだわりを持ち、お客様と考えて決定していきました。家具の選定に関しても、「働き方」に応じた家具を企画段階からイメージしてご提案し、選定をしました。
竣工後、来社していただく外部の方からは、よくお褒めの言葉をいただくと伺っています。「そもそも、仕事を持つ大抵の人にとっては、夜に家で寝る時間と同じか、それ以上の時間を過ごす場所が会社になるわけですよね。だとしたら、そこで一緒に過ごす仲間とうまくコミュニケーションができればより生産的で楽しく働けるはずではないか」と施主様が仰っていたのが印象的でした。新しい「働き方」が生まれてそれが定着しているというお喜びの声も伺っていますし、その理想形を作るお手伝いができたことを大変喜ばしく思います。