「お客さまと企業をつなぐ“ハッピーソリューションカンパニー”」をコンセプトに、便利やお得、安心や安全、驚きや感動を届けるさまざまなITサービスを開発し、多くの企業に提供している『株式会社レピカ』。
2006年8月に設立した同社は、今では当たり前のように使われている電子マネーやポイントカードに早くから着目し、「カード事業」をスタート。カフェチェーンをはじめとする飲食店からアパレル、スーパーマーケットに至るまで様々な業態の店舗で利用され、その数は2015年3月時点で約3,000店舗以上にのぼる。その他にも、業界最高速のメール到達性を誇るメール配信エンジンやメール生成ツールを提供する「メール事業」、個人情報漏えい対策ツールを提供する「スマートデータマネジメント事業」を展開。また、2010年には子会社を設立し、「AR事業」や「スマートフォン事業」を展開するなど、次々に事業を拡大し成長を続けている。
そんな同社が掲げる5つのミッションの1つに「社員一人ひとりが自らの力で最高の環境を創る」というものがある。今回はそんな同社の“最高のオフィス環境”という点に焦点を当て、代表取締役 Group CEOの岩井陽介氏と経営戦略本部 人事総務部部長の久野洋子氏にお話を伺った。
なぜオフィス環境へ投資したのか
2006年の設立以来、「カード事業」「メール事業」という二本柱で著しい成長を遂げた同社は、2010年に「スマートフォン事業」を行う100%子会社『アララ株式会社』を設立。さらに、2012年には新たにシステム開発会社『株式会社VARCHAR』を子会社とし、“レピカグループ”となった訳だが、会社の規模が拡大したことで、初めてある“課題”が生まれたという。その課題の解決とオフィス環境投資は一体どのように関係しているのだろうか。
岩井氏:2006年の設立当初は、愛宕山ヒルズにある会社の一角を間借りしていました。一年ほど経ち、次のオフィスを探していた時にたまたま立ち寄った青山一丁目の「カフェ246」で、そのお店を運営しているカフェ・カンパニーの代表で僕の先輩でもある楠本さんにばったりお会いし、「本社を移転する予定だから跡地に入る?」というお話をいただきました。カフェ・カンパニーの本社は「カフェ246」の地下で、まさにカフェのような素敵なオフィスだったので、「ぜひ入りたい」と即答しました。ただ、僕らとカフェ・カンパニーさんが移転するタイミングが合わなかったので、半年くらいは7坪ほどの物凄く狭い部屋で10人くらいが業務を行っていました。晴れて入居した地下のオフィスは駅近で非常に便利で、窓がないこと以外はとても快適でしたが、メンバーが非常に増えたのと自分たちが居たビルの取り壊しが決まっていたため、6年ほど経った2013年11月に今のオフィスに移転しました。
移転前は地下のオフィスだけではスペースが足りなくなったため、向かいにあったタワーマンションの一室を借りて技術部門の開発室にしたり、子会社のVARCHARが全く別のところにオフィスを構えたりしていたので、拠点がバラバラになっていました。そうすると、やっぱり“コミュニケーション”がうまく取れないんですよね。そこで、「みんなで一緒の場所に移りたいな」と思い、全員が入れるような良いオフィスを探そうと移転に向けて動き始め、この物件に巡り合ったんです。
オフィス環境変革後の変化や反響
「IdeaとTechnologyで革新的なサービスを提供し、みんながHappyになる社会を創る」を企業理念とし、常にチャレンジを続け邁進してきた同社は、2015年8月で設立9年を迎える。“レピカグループ”として3社が同じ場所で働くことができる新たなオフィス環境を手に入れたことで、社外からの反響はもちろんのこと、課題となっていた“コミュニケーション”や社員の“働き方”という点にも大きな変化があったという。
岩井氏:来社される皆さんからはよく「いいオフィスだね」と言ってもらいますね。実は、こちらに移った時に、「1階の広いスペースを利用して、オフィスお披露目パーティーをしよう!」ということになり、400人くらいのお客様に来ていただいたんです。その時に多くの方にご覧いただいたこともあって、知り合いやお客さまから「1階のスペースを利用したい」という依頼を多くいただくようになりました。仕事関係でも、いろいろなイベント等でも使用する機会が多いので、もしかしたら弊社のことを会社じゃなくて、そういうイベントスペース屋さんみたいに思っている方もいるかもしれませんね(笑)。
久野氏:メンバーの反響としては、移転当初はデザイン的にオフィスっぽくなかったので、やはりみんな違和感があったみたいです(笑)。ただ、徐々に慣れてきたということもあり、最近では「気分転換に1階で仕事してみよう」とか、「お友達を連れて会社で何かイベントをやろう」とか、大分メンバーがフレキシブルに考えて使ってくれています。そういう意味で変化してきているのかなと思いますね。
岩井氏:そうですね。1階でずっと作業をしているメンバーもいますし、金曜の夜なんかはカウンターでみんな飲んだりしていますしね(笑)。また、駅が近いということで、オフィスでイベントをやった時も終電間際までゆっくりできるんです。今グループ会社も併せると90名近くの社員がいるので、どこかのお店を借りてこれだけの人数でイベントをやるとなると結構お金もかかるじゃないですか。でも、移転してきてからは社内イベントがグッと安上がりになりましたね(笑)。
あと、元々の課題であった“コミュニケーション”についてですが、移転前と後ではやはり全然違いますね。これまではグループ内でも顔を合わせたことがないメンバーがいたりしましたが、今では日常的に顔を合わせられるようになりました。たばこを吸う人は喫煙所で話をしたり、いつもと違うメンバーでランチをいっしょに食べたり、新しいコミュニケーションが生まれましたね。社内の部活動もグループ会社の枠を超えて結構盛んに活動しています。すごく連携が取りやすくなったことで、グループ会社共同で仕事をすることも増え、とても良かったと思っています。
オフィス探しの条件とパートナーとの出会い
今回、同社が新たなオフィスの設計デザインパートナーとして選んだのは「株式会社ドラフト」。仕事での出会いがきっかけだったとのことだが、それだけの理由で会社にとって非常に重要な投資である“オフィス作り”を任せる人はいないだろう。では、今回同社がオフィス作りのパートナーとしてドラフトを選んだきっかけは何だったのだろうか。
また、オフィス作りの前工程である“オフィス探し”の段階においても同社にはかなり細かいこだわりの条件があったというので、それについても詳しい話を伺った。
岩井氏:「新しいオフィスにはテラスが欲しい」という希望があったので、その時のオフィス探しの担当者にそのまま話をしました。また、移転前の青山一丁目のオフィスと同じく銀座線の沿線で、渋谷から赤坂見附くらいの間で決めたいなと思っていました。さらには、できたら駅から徒歩3分以内の場所で…というように、相当細かい注文をしましたね(笑)。
また、弊社では3年くらい前から“社員食堂”を始めていたこともあり、「移転後のオフィスにも必ず食堂を作る」というのも条件でした。弊社には技術者が多いのですが、彼らは社内での作業がメインで、食事もカップラーメンなどで済ますことが多いんです。そういった彼らの食生活を良くするために、“社員食堂”をやりたいなと思ったのがきっかけでした。また、同時期に僕がシリコンバレーに行く機会があり、まだ移転する前のFacebookさんを訪問したんです。その時、社員食堂でランチをご馳走になったのですが、社員の皆さんが仲良くコミュニケーションをとっているのを見て「あ、これやな」と思ったんです。
移転前、地下のオフィスが手狭になった時に借りた向かいのタワーマンションの部屋には、立派なキッチンがあったんですね。それで、そこのキッチンを有効活用して食堂をスタートさせました。その流れがあったので、移転後も食堂は続けたいと思い、「キッチンを作れること」というのも条件の一つとして挙げました。
こうやって振り返ると、結構厳しい条件がたくさんあったので、物件を見つけるのは相当大変でしたね。本当にこれら全ての条件があてはまる物件に出会えてラッキーでした!
オフィス探し後のオフィス作りというところを担当してもらったドラフトさんとは、元々は仕事の関係で出会いました。「ドラフトさんのオフィスが素晴らしいので、一度一緒に見に行きましょう」と社内のメンバーに言われて、オフィス見学に行かせてもらったんですよ。そして、ドラフトさんのオフィスに入った次の瞬間「これはいいな」と(笑)。移転後のオフィスはこんなオフィスにしたいとその時に思ったのが一番のきっかけでしたね。そして実際にオフィス作りを考え始めたとき、3社くらいにプランを出していただいたのですが、中でもドラフトさんが一番素晴らしい提案をしてくださったので、パートナーとして選びました。ちなみに、「テラスが欲しい」と思ったのも、ドラフトさんのオフィスに物凄く素敵なテラスがあったからです(笑)。
久野氏:スケジュール感としては、2013年の8月頃からオフィス探しを始めて、9月中にはもう決まっていましたね。引っ越しが10月の終わりだったので、ドラフトさんにはかなり無茶なお願いをして、実質1か月くらいで作業を行っていただきました。引っ越しをしてからもいろいろと作業をしていただき、全て終わったのは2013年の年末でした。
オフィス作りのコンセプトとこだわり
物件探しの段階から代表の“オフィス作り”に対する想いの強さを感じることができるが、代表が考えた新オフィスのコンセプトは「プレゼンテーションオフィス」「おもてなしオフィス」「アミューズメントオフィス」「機能的な次世代オフィス」というこの4点。このコンセプトを実現させるにあたり、パートナーであるドラフトにはどのような注文をしたのだろうか。そして、それを基に完成したオフィス空間における具体的なこだわりについて伺った。
岩井氏:ほとんど居抜きの状態でしたが、「ウッドっぽい感じにしたい」と伝えましたね。あとはやっぱり、「シリコンバレーっぽくしたい」と。すぐ影響受けちゃうんでね(笑)。
以前はグループ3社がバラバラの場所にあって、なかなかメンバーの顔が分からなかったり、交流自体が少なかったんです。そこで、その交流をもっと深めるためにフリーアドレス制を取り入れました。技術系とか管理系のメンバーは固定席にしましたが、営業を中心に大丈夫そうな人はフリーアドレスにしました。これは正直賛否両論ありましたが、それぞれにロッカーを割り当てることで荷物の問題はクリアにしました。みんなが毎日違う席に座るので、今では新しいコミュニケーションが生まれていますね。基本的に執務スペースは2階ですが、フリーアドレスの範囲としては、1階も自由に使用することが可能です。今は2階が少し手狭になってきたので、1階にも一部デスクを用意しています。固定席のメンバーもちょっと気分転換をしたいという時には1階を自由に使ったりしていますね。
久野氏:引っ越しの時に岩井がよく言っていたのは、「キャンパスみたいに自由に人が出入りできるような状態にしたい」ということでした。1階の広いスペースは協力会社さんと一緒に使ったりですとか、いろいろなイベントで使っていただいたりもしています。イベントをする際には椅子をずらっと並べて、壁際に設置した二面の大きなスクリーンにプロジェクターを映せるようになっています。
岩井氏:もっとメンバーが増えたら、1Fにも打ち合わせ席をどんどん設けていくつもりです。前のオフィスは打ち合わせスペースが少なかったので、打ち合わせ場所の3分の1くらいは同じビルの1階のカフェだったりしたんですよ。僕も毎日3回くらいそのカフェに行ってお茶をしながら打ち合わせをしていました(笑)。結局そっちの方が落ち着くじゃんっという想いがあって、「カフェやテラスで打ち合わせや仕事をしたいな」と思うようになりました。今、外にあるテラス部分はまだ使えていませんが、暖かくなったら有効活用したいと思っています。一つのところにずっといると頭が凝り固まってくるので、いろいろと気分転換できる場所があって、そういうところで自分の仕事に集中したりだとか、自由に使えればいいなと思って。だから、打ち合わせ場所も丸テーブルにしたり四角いテーブルにしたりいろいろな変化を付けていて、それぞれのデスクの特徴を会議室名にしたりもしています。今いる部屋は“ウッド”という名前。1階の丸テーブルは“ラウンド”、水玉模様があるところは“ドット”という名前が付いていたりします。これらのテーブルなどの家具類については、僕らでセレクトしたものもありますが、ほとんどドラフトさんに特注で作ってもらったこだわりの品です。
今後取り組みたいオフィス環境づくり
冒頭部分でもお伝えした通り、同社では5つのミッションが設けられており、その中の一つに「社員一人ひとりが自らの力で最高の環境を創る」というミッションが掲げられているが、もう一つ注目したいのが、「ドキドキ・ワクワクするような未来の姿を創造する」というミッションだ。事業展開においてはもちろんのこと、今回焦点を当てた“オフィス環境”という点においても、この先今まで以上にドキドキ・ワクワクするような何かを創り出してくれるに違いない。そんな同社に、現時点で考える「今後取り組みたいオフィス作り」について伺った。
岩井氏:青空の下で仕事ができるようにしたいですね(笑)。あと、直近では大分メンバーが増えてきていることで、会議室や席が足りなくなりそうなんです。だから、もっと1階を充実させたいですね。今後は空きスペースをさらに有効活用して、例えばスタンディングでの打ち合わせスペースなど、いろいろなスタイルで打ち合わせができるようにしたいと思っています。
あとは、社員食堂をもう少し充実させたいですね。今は決まったメニューで限られた食数しか出せていないので、どこかのタイミングでもっと食数を増やして、サラダバーなども取り入れながら、もっともっと健康的なメニューの提供をしたいなと思っています。
久野氏:今、調理師さんも「おばんざいを作りたい」とかいろいろな案を出してくれています。社員食堂の件については、すでに立派な「事務局」が立ち上がっているので、今そこで一緒に検討しているところです。
岩井氏:これ以上メンバーが増えてくるとまた他のスペースを借りないといけなくなってくると思うのですが、例え増床したとしても、この1階のスペースが常にみんなの集まれる場所として在ることができればいいなと思っています。
Pick Up “ここが、レピカらしさ“
■参加自由なさまざまなイベント
1階のエントランスから広がるスペースは一部関係者に貸し出しを行っているため、社内行事やイベント等はもちろんのこと、社外からの持ち込みイベントも数多く行われているという。始業前の時間帯を利用したヨガ教室や外部の講師を招いてのセミナー等、イベント内容は実に幅広いが、基本的にメンバーは自由に参加できるものが多く、メンバーを想う代表の気持ちが反映されている。
■本格的な部活動
スポーツ好きな社員が多いという同社では、現在フットサルとトライアスロンという2つの部活動が正式認定されている。数自体は少ないものの、その内容はかなり本格的で、中には大会に出場する方もいるのだとか。他にもサバゲー部やワイン部等、なかなかコアな部活動もあるようだが、ある程度の活動記録が溜まらないと正式認定されないというハードルがあるらしい。