アドテク&マーケティングのフルスピード社の 自主性が引き出されるオフィスと働き方

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株式会社フルスピード(Full Speed Inc.)
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fullspeed_33 株式会社フルスピード 代表取締役社長 友松功一氏

独自のアドテクノロジーにより、AdmatrixDSPやPolymorphicAds(動画アドネットワーク)を はじめとするサービスを展開するほか、SEO、リスティング、アフィリエイト、DSP、ソーシャルメディアなどのインターネットマーケティングの各種サービスを提供する、株式会社フルスピードのオフィス紹介。

2001年、京都の一般家屋の1室でスタートした同社は、成功報酬型SEOサービスやリスティング広告で頭角を現し、2003年には東京に移転、2007年には東証マザーズ上場を果たす。以来、渋谷近辺でオフィス移転を重ね、2012年、株式会社フリービットのグループ会社化を機に、7代目オフィスとなる現在のE・スペースビル8階に居を構えるようになった。

こうしたオフィス環境に込められた思いや社員に望むもの、今後のビジョンなどを、2015年から代表取締役社長を務めている友松功一さんに聞いた。

「アドテク」と「マーケティング」、2軸での運営がストロングポイント

―インターネット広告業界における、御社の特徴や強みを教えていただけますか。

友松:当社は社員200人くらいの独立系広告代理店ですが、大手であればともかく、この規模ですと普通は営業力か技術力か、どちらかに偏るものです。当社も元々は営業が強いと言われていましたが、今は優秀なエンジニアも多数採用していて、かつ営業部隊も組織力をもって動かせており、「アドテクノロジー」と「マーケティング」の両軸でやっていくというのが強みになっています。お客様の声も直接開発に活かせ、より企業としての強さにつながっていると思いますね。

―友松社長ご自身のキャリアを教えていただけますか。

友松:前職は営業部隊が1500人規模の会社で、組織管理責任者でした。ただ、それほどの大所帯だと、自分の力がどれだけ影響を及ぼしているのか実感がなかったのです。また、その会社のSEOを担当していたのがフルスピードで、実績を上げていたのも知っていましたので、インターネット広告業界にもフルスピードにも興味を持ちました。それで、ご縁があって2008年に入社したのです。
当時のフルスピードは従業員180人くらい、そのうち営業は70人でした。2001年の創業以来順調だったのが、リーマンショックの影響もあって当時、業績は厳しく、アフィリエイト広告事業を分社化するなど、。組織の再構築が活発で、私は経営にはタッチしていないものの、事業については全体の動きを把握していました。
2010年にフリービット株式会社が親会社となったのに伴い、経営陣が一新されました。その時に、フルスピードの生え抜きだった役員は1人でしたが、2014年にその方が独立されるにあたり、代わりに役員に入ったのが私でした。それから1年ほどでまた経営陣を見直して、チームを取りまとめる立場だった私が代表取締役社長に就任した形です。

―一般社員として入社されたのが、組織を取りまとめてこられる中で、社長としてそのまま陣頭指揮を執られる立場になられたわけですね。

友松:そうですね。ただ、中途の同期入社組や一緒に汗を流してきた仲間がたくさんおりますので、社長と言ってもまとめ役に近く、お兄さん、あるいはお父さんといった感じかもしれません(笑)。私は今37歳ですが、当社の平均年齢は30.2歳です。また、私が入社した時は30歳でしたが、当時中途入社される方は25歳くらいが多く、周りよりも若干ビジネス経験が長いことで、相談も日常的にされてきました。
実は、創業オーナーからの伝統で、社長の私も社長室などは設けずに、社員とデスクを並べているのです。日中はフロアにいることも多いですから、普通に声をかけられますね。集中したい時には、「Executive」の会議室にこもることもあります。

互いの仕事へのスタンスや考え方まで共有し、業務に活きるコミュニケーション活性を

―社内の風土はどのような感じですか。

友松:風通しが良く、コミュニケーションを取りやすい雰囲気ですね。職種や部署、プロジェクトを超えた、横のつながりは当社ならではでしょう。皆よく話をしています。週に1回、大会議室を使って社内の勉強会やセミナーが開かれていますが、自発的なもので、社内の新たなサービスや仕組みについてのレクチャーや顧客ごとの成功事例の共有などを社内横断的に行っています。
リフレッシュスペースという、休憩や食事ができる場所を使った、小まめなサークル活動も盛んです。ランチタイムに海外籍の社員から英語を学ぼう、といったことですね。社外においても、5人集まればサークル申請ができて会社から補助金も出ますので、写真部や野球部など活発に活動しています。こうした活動については、告知や報告がリフレッシュスペースに張り出されていますので、そういう意味でもこの場所は社員の交流に一役買っていますね。
また、当社を退職されたOBと現社員や、OB同士のつながりというのも深いです。社内の風通しの良さが、そのまま続いているためではないでしょうか。外部の方にもよく言われますし、自分たちでも感じます。

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―その風通しの良さはどこから来ているのでしょうか。

友松:会社として、意識してコミュニケーションの活性化につながる取り組みを行っています。一般に経営陣だけの会議や合宿はありますが、当社では部門長、事業部長、部長のレベルでも横の連携を目的としてよく行うのです。たとえば、部長だけで1泊2日、各部署の現状やそれぞれの部長の考え方を知ろうという内容だけで合宿します。事業の課題や今後の目標にはあえて触れません。
部長職は今20人ほどですが、課長級の約50人で互いの考えや仕事へのスタンスを知るための共有会なども行います。全社員が180人程度ですから、4人に1人以上ですね。そこでも、業務に関わることよりは、どうしてエンジニアを志したのか、開発という仕事の何が好きなのかといった各人の思いを共有するのです。サークル活動などを通じた仲の良さに加え、こうした理解があれば業務により活きると考えて、あえて時間をかけています。

「ココロ∞(つなぐ)テクノロジー」の基となる5つの価値観に沿って目標設定

―一人ひとりの考えという意味では、「個人ビジョン成果」の評価を行われていますね。

友松:当社では半期ごとに個人評価シートを作成して目標設定とその進捗を確認していますが、2017年度上期より「ビジョン」の項目を追加しました。会社のビジョンとして「ココロ∞(つなぐ)テクノロジー」を掲げていますが、これはトップダウンではなく、部門ごとにメンバーの声や期待を集めて言葉にしたのです。その時に、私たちがフルスピードらしくあるために基盤とする精神として挙がった、大切にしたい価値観が5つあります。「Challenge 可能性を信じ、変化し続ける」「Teamwork 仲間を信頼し、チームの成長に責任を持つ」「Humor 何事も楽しむ遊び心を忘れない」「Hospitality 関わる人の一歩先の幸せを想像する」「Variety 幅広い視野を持ち、多様性を重んじる」というものです。
フラットに皆で考えた結果、とても良い価値観がピックアップできたと思います。ただ、作っただけだとダイエットと同じで目標達成にはよほどの自己マネジメント力が必要でしょう。そこで、会社として定点観測する仕組みとして、評価シートに加えることを考え、始めたところなんです。
まだ試行錯誤の段階なので、部署ごとに自分で目標設定していたり、上司がサポートして一緒に考えたりさまざまです。内容も、Adwords認定資格試験にトライしてグループメンバーとともに合格を果たしたというものから、美食会を結成し5回主催して交流を深めたなど幅広かったですね。
やり方は今後も考えていきますが、こうした取り組みを通じて、皆が自分の考えを発言しやすくなってきていると感じます。自主性も高まってきていて、勉強会やレクチャーが盛んなことにも通じているのではないでしょうか。

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―そうした、成長意欲の高さが社員には求められるのでしょうか。

友松:そうですね、採用基準の一つでもあります。インターネット業界は成長産業ですが、競争も変化も激しい世界です。ですから、新しいものを生み出すだけでなく、世の中の変化を敏感にキャッチして従前のやり方を柔軟に変えていける人材が好ましいですね。
上司の世代には、自ら勉強して自分の付加価値を上げていった成功体験を持つ人もいますから、部下にそうした機会を奨励したりもしているかと思います。業界特有かもしれませんが、個人の経験を共有しようという雰囲気はありますね。

評価や表彰など、モチベーションが自ずと高められる見守りの仕組みが随所に

―MVPの表彰などは、競争関係を高める狙いもあるのでしょうか。

友松:それは、気持ちとしてはありますけれど、煽るつもりまではありません。皆、内に秘める熱意は持っていますから、頑張って結果を出した人を賞賛する文化を作っていきたいという考えですね。実際、営業職は毎月目標達成するごとにインセンティブが付与されますし、MVPについては半期・通期にて貢献度に応じた豪華旅行券を表彰と共に授与しています。受賞者は家族旅行に行かれたりと、家族で楽しんでいる方が多いようですね。

―休暇の制度はどのようですか。

友松:普段は完全週休2日で土日祝日は休みです。夏季休暇は2日間、冬期休暇は5日間で、有休も取得しやすい風土なので、そうした休みに合わせて取って、女性社員などはよく海外旅行に行っていますね。もちろん日常的な有休取得もできますし、チームの状況にもよりますが、希望する時には比較的取得できているのではないでしょうか。時間のコントロールは行いやすい職場環境だと思います。

―社員のモチベーションを高める仕組みが考えられている印象ですが、これらは友松社長のお考えによるのでしょうか。

友松:社長としてというよりも、もともと入社以来、営業管理や制度設計に携わってきましたので、私が考えたと言えばそうですね。評価制度は、フリービットのグループ会社となった時に刷新し、営業のインセンティブ制度もその頃、現場の声を受けて部長らと一緒に作り上げたものです。ビジョン策定も、役員だった時に当時の社長に進言して進めさせてもらいました。そういう意味でも、ずっと業務として会社の組織や体制作りに取り組んできた延長線上に、社長としての今がある感じですね。

アジアでのビジネス展開が本格化、セブ島に初の開発拠点を設置

―こちらのビルには、フリービットグループ全体が入っていますね。

友松:現在当社を含め、4フロアをフリービットグループが占めています。シナジー効果を考え、連携を深めるためにも近くにいようという考えですね。月に1回はグループの経営会議がありますし、個別の役員とのミーティングもよくあります。グループには当社を含めて上場企業が3社ありますが、株主総会対応や採用・人事労務制度への取り組みなどを互いに共有できるのは大きいですね。
ただ、当社だけでも新卒採用を20人目安で行っていますので、オフィスが今後手狭になっていくかもしれません。ビル内で空きフロアが出れば増床を計っていこうというのはグループの総意です。

―今後の事業展開については、いかがですか。

友松:本格立ち上げから1年になる訪日インバウンド事業と、アドテクノロジー領域では2016年夏に本格稼動した動画広告プラットフォーム事業を伸ばしていくのが、目下のミッションです。
これら独自のアドテク商材や訪日メディアである「GoJapan」などの将来戦略を踏まえて、2017年1月にフィリピンのセブ島にオフショア開発拠点を設立しました。日本よりも東南アジアのほうがエンジニア採用も容易であり、英語圏なので横展開が見込めるのがセブ島にした理由です。東京から直行便で4時間ほど、時差もないですから、最初の開発拠点としては最適でしょう。日本人のエンジニアも現在4人が在駐していますが、英語圏で開発の仕事ができれば幅が広がりますから、会社のためにも個人のためにも後押ししていきたいですね。

     

編集後記

今回、約40分のインタビューをさせていただいた。自らを「まとめ役に近く、お兄さん、あるいはお父さんといった感じ」と言われる友松社長はずっと力まず、自然体だった。
社長の人柄そのものが、スタッフ間の繋がりが強く風通しの良い風土の源かもしれない。

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企業情報
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  • 会社名 株式会社フルスピード(Full Speed Inc.)
    URL https://www.fullspeed.co.jp/
    設立 2001年1月4日
    代表者 友松 功一
    上場区分 東証マザーズ上場
    住所 東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー8F
    最寄駅 渋谷駅 / 京王井の頭線 神泉駅
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