株式会社アプトポッド 取締役CTO 梶田 裕高氏
IoT – Internet of Things とは身の周りのあらゆるものがインターネットに繋がる仕組みのことである。ただし当技術の応用範囲は非常に広い。身近な家電製品をスマートフォンなどのデバイスからリモートコントロールするアプリもそうだし、農地に設置したセンサーから水や肥料の必要なタイミングを算出するソリューションもある。
株式会社アプトポッドのアプローチはシンプルである。例えば自動車に取り付けたセンサーから走行データをリアルタイムでサーバーに送信する。瞬時に走行データはグラフ化され、Webでどこからでも閲覧可能となる。この一連の流れをSaaSソリューションとして提供しているのが同社である。データ転送プロトコルからサーバー処理、さらにはWebのフロントエンド設計まで幅の広い技術に対応したチームを率いる取締役 CTOの梶田裕高さんに話を聞いた。
事業の成長と現在のステージ
— 梶田CTOの入社における経緯を教えていただけますか。
梶田:セキュリティ関連の会社で仕事をしていたところ、代表の坂元(代表取締役 坂元 淳一氏)と知り合い、一緒に仕事をする機会がありました。新製品の開発展開や公演のデモにまで同席するなど、密な関係でいるうちに、誘ってもらったというのがきっかけになります。
— 入社から今に至るまでの変遷や現在の業務内容を教えてください。
梶田:当社は2006年12月設立なのですが、最初はコンサルティング寄りの事業をメインにやっていました。私が入社してから自社開発を本格的に始めました。現在は15名以上のエンジニアが在籍してますが、ここ1、2年で10名ほど増えています。私自身は複数プロジェクトをまたいだ開発自体の支援、新製品の設計、採用など「手の足りていないところは何でもやる」というスタンスに近いです。
開発をはじめた当初はモニタリングやデータ計測のUI開発からスタートしたのですが、データがもっと高粒度かつリアルタイムである必要が出てきて、そのためのプロトコルも開発して、とどんどん掘り下げて行った経緯があります。
ただしWebでもアプリでも直感的でかっこいいものを作りたいというのは常に思っています。
プロダクトの特徴と強み
— 読者の方にもわかるように、なるべく簡単にプロダクトの説明をお願いできるでしょうか。
梶田:はい。まず当社技術の応用範囲が一番わかりやすいのは自動車だと思います。メーカーや研究所で利用されていますが、車載の専用機材から走行データをリアルタイムでサーバーに送ります。ただし密度が高くサイズも大きなデータですから、そのために当社が開発した仕組みを使って転送します。集積されたデータはすぐにグラフやメーターなど、理解しやすい形で視覚化されます。
Web、専用アプリ、モバイルアプリなど、ビュー側はさまざまです。将来的には、遠隔の制御なども含め、機械+人のインテリジェンスな基盤を作って産業系に広めていきたいと思っています。この技術は色々なプロジェクトに応用できるはずです。例えばスポーツとかもそうですね。座標や加速度などのデータを身体に取り付けたデバイス経由で取得し、トレーニングやコーチングに利用できるはずです。その中でも当社のコア技術と言えるのは「データ転送」と「ハンドリング」のポイントで、より「リアルタイム」に「効率的」かつ「確実」に送るというのがもっとも重視している箇所です。
— 15人強の開発体制とのことでしたが技術の幅がずいぶん広いですよね。データ転送のプロトコルとダッシュボードのUI開発では必要なスキルセットが全く違うように思うんですが、どのような体制で進めているのでしょうか。
梶田:その通りです。正直なところ結構大変です(笑)スキルもインフラからサーバーサイド、フロント、アプリ、組込みソフトウェア、ハードウェアのプロトタイピングまで多岐に渡っていますので。「プロジェクト」と、エンジニアの職域で分けた「チーム」の両軸で組織を作っています。それぞれにリードエンジニアを置いていて、彼らがしっかりマネジメントしてくれています。
エンジニアに求めることとして、アンテナが高く、技術的な興味の対象が明確であることが重要だと思っています。「こんなプロダクトを作りたい」とかですね。当社は研究開発については比較的自由に挑戦できる風土です。色々なハードウェアを制御して動かしてみたり、空いた時間に試しています。良い意味で研究室っぽい雰囲気とも言えます。ものづくりが好きな人は楽しめる環境だと思いますね。
ライブ感、リアル感。目の前で動くものが自分たちの手がけた仕組みで数値化される喜び
— 昨年に今のオフィスへ引っ越されたようですが使い勝手はどうですか?
梶田:2016年の7月にこのオフィスへ引っ越してきました。前のオフィスは会議室に別な場所を借りていたり、利便性があまり良くなかったんですよね。新オフィスは入り口のみダークな感じにして、執務スペースは床の色を白っぽく、自然光が取り込んだ明るいスペースにしようというコンセプトは固まっていました。スタッフからの評判も良いです。ちょっとした打ち合わせもすぐにできますし、満足していますね。
— 今後も採用をしていくにあたって御社のやりがいやアピールできるポイントなどを教えてください。
梶田:Webサービスの開発とか運営はお客様の反響やプロダクトの価値がダイレクトに伝わりやすくエンジニアもやりがいがあると思います。でも当社のソリューションはもっとリアルでライブ感に満ちています。目の前を走る自動車の走行データがそのままデータとなり、数値化される。開発している側は本当に楽しめます。大手のメーカーさんや研究開発を行なっている会社さんと一緒にプロジェクトを進める場合も多いですが、いわゆる「受託開発」とは違います。
こちらで実証してよければ製品化する。会議の前にテストまで進む場合も多いです。その意味ではイニシアティブを取って自分たちで企画し作っていける。このダイレクト感が当社の一番アピールできるポイントだと思っています。