総合イベントプロデュースグループとして、日本国内だけでなく世界を舞台に事業展開を行っている『株式会社グローバルプロデュース』。2011年に設立した同社は、圧倒的な“企画力”と“クリエイティブ力”を武器とし、全社会議や周年式典、記者発表会や入社式などの企業イベントをはじめ、プライベートショーやシンポジウム、スポーツフェスティバルや試写会等に至るまで大小様々なイベントを手掛け、創業から僅か4年目にして黒字経営で急成長を遂げている。
「Bring Happiness in the world through events」を理念として掲げ、イベントを通じて世界に幸せを届けるために日々新たな挑戦を続けている同社では、お客様の“想い”をイベントという“カタチ”にすべく、全てのワークフローにおいて「コミュニケーション」を何よりも重視している。また、SNS等でのコミュニケーションが当たり前のようになりつつある現代において、イベントが持つ“リアルコミュニケーション”の可能性についても同時に追求し続けることで、グローバルプロデュース独自の新たなスタイルと歴史を着々と築き上げ、更なる成長へ向けた第一歩へと繋げている。
そんな同社は今回移転という大きな環境投資を行い、社員同士のコミュニケーションの舞台であるオフィス空間をより快適で理想的な空間へと変貌させた。その背景にはどのようなストーリーがあったのか、代表取締役社長 兼 チーフディレクターの光畑真樹氏をはじめ、アカウントディレクター 兼 広報PRマネージャーの宮永麻代氏、イベント事業部の村上裕紀氏、山下のぞみ氏にお話を伺った。
なぜオフィス環境へ投資したのか
2011年10月に設立した『株式会社グローバルプロデュース』。下北沢にある光畑氏の自宅から事業をスタートさせた同社は、その後2013年4月に同じく下北沢内で移転を行い、今回2015年3月に“原宿”という新たな地へとその活動の拠点を移した。
創業4年目にして今回で3度目の移転となった訳だが、そんな同社が創業の地として“下北沢”を選んだ背景や、移転という大きな環境投資を短いスパンで繰り返している背景にはどんな理由があるのか尋ねてみたところ、代表の光畑氏から非常にユーモア溢れる回答が返ってきた。
光畑氏:下北沢を創業の地に選んだ理由は2つありまして、1つは僕がAppleファンだったので、スティーブ・ジョブズが自分の家のガレージで事業をスタートさせたように、自分も下北沢にある自宅から全てをスタートさせようと思ったんです。もちろん最初に小さいオフィスを借りる資金はあったのですが、1年目は自宅でスタートした方がロマンもあるかなと(笑)。合鍵も社員に渡して、社員も自由に出入りできるようにしていました。当時はリビングが会議室だったので、朝起きたら僕の知らない打ち合わせが入っていたようで、来客含め15人くらいで打ち合わせをしていたこともありましたね(笑)。
もう1つは、僕凄いジブリファンなんですよ!ジブリ美術館が吉祥寺の三鷹にあるじゃないですか。シリコンバレーもサンフランシスコから結構距離があるように、やっぱり何か良いものを作るには中心部からは少し外れていた方が良いんじゃないかなって思ったんです。
その後2013年の4月に同じく下北沢にある100平米くらいのオフィスに移転をしたのですが、その引っ越しをした当日に「ここは2年で出るから」と当時のメンバーに話していたんです。そして2015年3月に今の原宿のオフィスに引っ越してきた時にも、やはり同じように「2年で移転をする」という話は皆にしましたね。企業というのは、“停滞”することというのは絶対に無くて、上がるか下がるかだけだと思うんです。成功する企業というのは本当に一気に上がって行くって言いますからね。そういった企業は少し無理をしてでも広いオフィスを借りるという話をよく聞くのですが、僕はそれがなかなかできなくて。少しずつ少しずつ、着実に大きくしていこうと思っているんですよね。なので、今年の3月に移転をしたばかりですが実は既に次の移転を考えていて、現在400平米くらいの良い物件を探しているところなんです。
新天地“原宿”への移転
創業時から約3年半、下北沢という場所で企業としての力を着実に付け、今回“原宿”という新天地へと大きな歩みを進めた同社。原宿駅から徒歩1分という好立地でありながら、築50年という歴史と趣のあるマンションの一室が同社の新たなオフィスとなっている訳だが、今回の3度目の移転で “原宿”を選んだ背景には、利便性という点以外にも、数々のイベントプロデュースを手掛ける同社ならではの「ホスピタリティ」を垣間見ることができる理由があった。また、約3ヶ月という短いスケジュールで今回の移転プロジェクトが成功した背景には、創業当初から付き合いのある心強いパートナーの存在があったという。
光畑氏:今回の移転で原宿という場所を選んだ理由としては、まず、今までずっと拠点としていた「下北沢」に代わる、“雑多な自由感”を持ち合わせた都心ってどこだろう?と考えるところから始まり、「原宿」が候補地として挙がりました。表参道でも青山でもなく、「原宿」だったんですよね。原宿はファッションやアニメなどのいろいろな文化があって、観光客の多さで見ても“グローバル”だなと思ったんです。また、打ち合わせなどで弊社に来てくださった方々が、早く着いた時や帰り道などにフラッとどこかに立ち寄れるという点も原宿を選んだ大きなポイントになりました。表参道は高級店ばかりですが、原宿には本当にいろんなお店がありますから、来てくださる方々もきっと楽しいだろうなと思うんですよね、周りに何も無いよりも。
物件を選ぶ時には、渋谷や麻布など他の候補地もありました。その中でもこの場所を選んだ一番の決め手はやはり「駅が近い」というところでしたね。アクセスが良いと仕事のモチベーションが上がってフットワークも軽くなりますし、顧客サービスの気持ちも上がりますから、そういう意味では非常に良い物件だったと思っています。
そして、今回の移転でお世話になったオフィスコムさんとはもう創業時からのお付き合いになるのですが、オフィスコムさんをパートナーとして選んだ一番の理由はやっぱりリーズナブルな価格帯でしたね。創業時というのはやっぱりそんなに潤沢にお金がある訳ではないじゃないですか。そんな時にオフィスコムさんのホームページを見つけて、「よしここだ!」と思って問い合わせをした時からのお付き合いですね。凄く低価格なので、最初は商品を納品するだけなんだろうなと思っていたら、それ以外についてもフルサービスでやっていただけたので本当にありがたかったです。なので、2011年の創業時から毎回引っ越しのときはオフィスコムさんに頼んでいますし、今後移転をする時にもオフィスコムさんにお願いをすると思います。
オフィスのコンセプトとこだわり
今回の移転プロジェクトは代表含め3名がメインとなって進められたということだが、物件については毎回必ず社員全員で内見に行った上でそれぞれの意見を聞いて最終決断をしているという同社。常に社員同士の意見を尊重し合い、抜群のチームワークを誇るそんな同社のポリシーは「即断即決」。今回の移転においても、ほとんどの工程においてスムーズに作業が進行されたというが、約3ヶ月というスピードで完成したオフィスにはどのようなこだわりが詰め込まれているのだろうか。全体のコンセプトと併せて、そのオフィスのこだわりについて伺った。
光畑氏:このオフィスのコンセプトとしては、“シンプルだけどすっきりし過ぎない”ということをポイントとして心掛けました。センスの良い雑多感というんですかね。シンプルですっきりし過ぎていて何も置かないというのは逆に落ち着かないかなと思ったので、あえて物を多めに置いたりしています。昔の喫茶店じゃないですけど、そういった方が何となく落ち着くじゃないですか?
うちのオフィスにはオブジェ類も多いのですが、高級品は何一つないですね(笑)。1階に飾ってある「GP」のオブジェは、弊社の事業内容上舞台美術の方などとのお付き合いも多いので、その関係者の方に作っていただきました。あとはホワイトボードはいっぱい置いてありますね。アイディアを広げるために会議は本当によく行うので、たくさん書き止めておけるように大きいホワイトボードを壁の至る所に設置しています。でも、家具類に関しては実はこだわりは特に無いんですよね。「この机が格好良い。この椅子が座りやすそう。」というような感じで、オフィス内にある家具類の9割は僕がセレクトをして揃えていきました。オフィスに来てくださる方々は皆さん「オシャレですね!」と言ってくださるのですが、ほとんど感覚で選んだのでトータルバランスというのは正直あまり分からなくて、そんなに考えていなかったんですよね。多分、普段ステージを演出したりデザインしたり、割とクリエイティブな仕事をしているので、逆にそれ以外の部分は“普通”なのかもしれないですね。
あとは、オフィスコムさんが手掛けてくださった壁紙とかは凄く気に入っていますね。家具より何より、壁紙一つで空間の雰囲気というのは大分変わりますからね。1階はウッドテイストの貼り紙にしたり、2階はレンガ調にしたりと、全室変えてみたら意外と良かったですね。そういう意味では壁紙というのは費用対効果が高いですよね。
宮永氏:築50年のこのマンションは、実は部屋によってデザインが全部違うんです。ヴィンテージ感のある部屋もあれば、開けると和室のような部屋もあったりして。でも、この部屋は以前外国人の方が住まれていたのか、改修前から割と全体がお洒落で雰囲気も良かったですね。至る所にヨーロッパメーカーのものが使われていて、金のノブが付いた白いドアや陶器の洗面台は初めて内見に来た時に凄く気に入りました。ただ、いかに家っぽく見せずにオフィスっぽくしていくかというのは、移転時に凄くこだわった部分でした。
あとは、キッチンも付いているので本当はもっと社内で料理をしたいなと思っているのですが、スーパーが近くにないので生鮮食品や食材が買えず、実際はあまり利用できていないんです。元々はこのキッチンを有効活用する予定だったので、移転に合わせて調味料やお鍋なども一式全部揃えたんですけどね(笑)。引越しをしてすぐに30~40名くらい招待してイベントの打ち上げを行ったのですが、その時に皆さんに手料理を振る舞ったんです。このオフィスでは、そういうアットホームなパーティーを行うことができるので、それは凄く楽しいなと思いましたね。オフィスで手作りパーティーってなかなかできないと思うので、そういう点では斬新なオフィスだと思います。
オフィス環境変革後の変化や反響
イベントプロデュースという仕事は周囲の協力が無いと成り立たない仕事であるからこそ、同社では“コミュニケーション”を何よりも重視している。それは一緒に仕事をする関係者のみならず、お客様や社員同士の間においても同じであり、1つのイベントを成功させるためには各所において密なコミュニケーションが必要不可欠となる。仕事を進めていく上で何よりも大切なその“コミュニケーション”をより活性化させるために、同社の新しいオフィスは非常に大きな役割を担っているようだ。
山下氏:オフィスに来てくださったお客様が「こんなに良い雰囲気のオフィスは初めてです!」と言ってくださったりするので、そういった声を聞けるのは素直に嬉しいですね。
村上氏:そうですね、オフィスをお客様に紹介できるようになったというのは大きな変化だと思います。移転前はワンフロアだったので、紹介するというよりもぱっと見で判ってしまっていたのですが、今は「2階もあるので是非見て行ってください!」というようにちょっとした探検をしてもらえるという点ではお客様にも喜んでもらえていると思います。
宮永氏:お客様には大体2階に上がってもらって会議室で打ち合わせを行っています。その時々の状況に応じて1階で打ち合わせを行うこともあるのですが、実は1階は代官山の「Tサイト」に倣って、「Gサイト」という名前を付けているんです(笑)。フリーオフィスのようなイメージで、“原宿に来たからちょっと立ち寄ってお茶でも飲もう”というような雰囲気にしたくて。
村上氏:働き方という点での変化としては、2階に執務スペースがあるので、気分転換に1階に移動ができるというのは個人的には良いなと思っています。基本的に2階で仕事をすることが多いのですが、モニターを使いながら打ち合わせをしたい時などは1階を使っています。あと、休憩時には大きなソファーで横になったりもしていますね(笑)。
宮永氏:2階の執務スペースにある自分の机だと、PCモニターが置いてあったりするので単純にスペースが限られています。でも、1階はそういったことを気にせずに広く自由に使えるので、企画を考える時などに机の上に資料や本を広げたりしながら作業ができるので、そういう意味では以前よりクリエイティブに仕事ができるようになりましたね。
今後取り組みたいオフィス環境づくり
インターネットの普及により、移動せずとも個人の手元のみで情報の収集や発信、モノの売買や周囲とのコミュニケーションまでが簡単にできてしまう現代において、人と人とが直接関わり合い、同じ時間と空間と感動を共有することで成り立つ「リアルイベント」の価値というものが改めて見直されつつある。その呼び水となっているのは、やはり2020年に行われる東京オリンピックであり、これを機に「リアルイベント」の重要性が再認識され、イベント業界も更なる盛り上がりを見せることが予想される。そんな中で、同社は世界一のイベントプロデュース会社を目指し、今後も一歩一歩着実に成長し続け、多くの笑顔と感動を生み出していくに違いない。
光畑氏:何より働きやすいということが一番ですので、まずは一人一人の通常の作業スペースをもっと広くしたいなというのは本音としてありますね。今のオフィスは1階と2階を合わせて全部で4部屋あるので、一般的なオフィスとしては若干使いづらいんですよね。本当は各部屋に社員をうまく振り分ければ一人一人がもっと広い作業スペースを取れるようになるのですが、ベンチャーなので「ワンチーム感」というか、社員全員の“一体感”というのを大事にしたいなと思っているんです。それもあって、今は一番広い1つの部屋で全員が業務を行っているのですが、これは近々変えていきたいなと思っています。ぎゅうぎゅうなのも食卓みたいでいいんですけどね(笑)。コミュニケーション不足だけは避けようというのが常に会社のスタンスとしてはありますので、その点についても慎重に考えながら環境を整えて行ければと思っています。
次の移転については、場所も内容も具体的なイメージはまだ無いのですが、オフィスというのは本質的にはブランディングの一つでもあると思っています。弊社は基本的にB to Bなので一般的に周知されているということはまだ少ないのですが、ニュースレターを発行したり、HPにも社員をできるだけたくさん露出させたりして、業界外の方にも少しでも「グローバルプロデュース」という会社を知っていただけるような工夫やブランディングなどに力を入れています。なので、オフィスについても来社した方が他の人に「伝えたくなる」、そんな“ブランディングのひとつ”としてのオフィスにしていきたいですね。
Pick Up “ここが、グローバルプロデュースらしさ“
■「社員旅行」という名の海外研修
年に一度社員旅行のある会社というのはそう珍しくはないが、同社の社員旅行はなんと“一人ぼっち”だというから驚きだ。しかもその行先は、海外であればどこでも好きな場所に行って良いという非常に自由なもの。普段からコミュニケーションを大切にしている同社だからこそ、社員旅行は一緒に行く必要もないだろうという代表のユニークな発想から生まれ、創業当初から続いているというこの社員旅行制度。中にはインドで大変な目に遭って帰ってきた社員もいたようだが、それに対して代表の光畑氏は「そういう経験をすると度胸が付くじゃないですか。それに、グローバル感覚を養う良い経験にもなると思うんです。」と語る。日本国内のみならず、海外の案件も手掛けている同社では、こういった経験が全て仕事に活きて来るため、今では“海外研修”も兼ねての一人旅行のような形でこの制度が活用されているようだ。
■EVENT PRODUCERS COLLEGE
今年で3回目となるこの『Event Producer’s College』。これは同社が開催しているインターンシッププログラムで、イベントプロデューサーとしてのノウハウやプレゼンの技術をプロから学ぶだけでなく、その後参加者の中でチームが組まれ、課題として出された実践プログラムを実際に行うというもの。2015年の今回は『原宿活性化イベントを企画せよ!』というプログラムに、面接で絞り込まれた50名の学生たちが参加するとのことだが、その会場となるのはなんと表参道にある小学校の体育館。この場所を会場に選んだ理由としては、イベントプロデュースを行う会社としては、やはり「“普通”ではつまらない」という考えがあったという。開催場所だけでなく、プログラム内容を見てもこだわりを持って取り組んでいることが分かるこのインターンシッププログラム。イベント規模の大小関係なく、その“質”に徹底的にこだわり、一丸となって全力で取り組む同社の仕事に対する姿勢を、是非多くの学生に学んでほしい。
代表取締役社長 兼 チーフディレクター 光畑真樹氏
左からイベント事業部 村上裕紀氏、アカウントディレクター 兼 広報PRマネージャー 宮永麻代氏、イベント事業部 山下のぞみ氏